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『ヴァージン』観てきた

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『ヴァージン』を観てきたin新宿。

絶賛公開中なので、
本来ネタばれを避けつつオブラートに包んで面白さを伝える書き方を
しなければならないと思うけど、
そんな律儀な謙虚さを持ち合わせていたらそもそも書くかどうかも微妙なのであって、
2、3秒迷った挙句ネタばれ全開で書いてしまおうという結果に陥り、
というわけで見たくない人は見ないで下さい。
書くのはだって、自分の為だもの。でも映画は観て下さい。

『ヴァージン』
女性(10代・20代・30代)の処女喪失を3作品で描くオムニバス作品。

予告編は コチラ 。




『くちばっか』 今泉力哉監督
高校生の男女が、処女を、童貞を、女の子のお姉ちゃんの部屋で、
しかも男の子が昔好きで告白もした、そんなお姉ちゃんの部屋で喪失する話し。

今や若手で1番注目されている今泉監督。
嫉妬心があるので今まで観たことはなかったので、今回が初の今泉映画。

基本的に長回しで、温かくじっくりと描いている作品。
時折笑いも挟みつつ、尚且つ初体験の緊張感、噛み合わなさをこれでもかと見せつけられ、
ひゃー、面白かった。特に男の子が抜群に良くて。

でも気になってしまったのが、
クライマックスの濡れ場シーンで、何かが何かとぶつかる音が頻繁に聞こえてきて、
思いっきり現実に戻されてしまったこと。
後付けの音だとしたら付けた意図が良く分からないので、
多分現場音だと思うけど、何だか違和感。。
ベッドの軋む音とかならリアリティがあって良いんだけど、
ぶつかるような音なので、気になって仕方なかった。
また役者の動きと音が合っていないので、
物語よりも、音の鳴る間隔が気になって仕方なかった。

それと、女の子のお姉ちゃんで、男の子が昔告白してふられたお姉ちゃんが出て来る。
名のある人をキャスティングしているので、それ相当の役回りを演じるべきだと思うけど、
どうも中途半端に感じた。

女の子にとってお姉ちゃんは、好きな男の子が『まだ恋心を抱いているのではないか?』
と不安で、
だからあえてお姉ちゃんの部屋に男の子を呼ぶ。
言ってみれば女の子の敵である。なのにこの2人、全くぶつからない。
もしお姉ちゃんを登場させるのであれば、
濡れ場シーンに割って入って登場させるくらいのインパクトが欲しかったなぁと。
ラスト間際、お姉ちゃんにばったり会ってしまう2人のシーンがあるにはあるけど、
ぶつからず、気まずさで押し通す。
個人的にはもっと出すべき人物、
小さく出すのなら最初から出さないで良かった人物だと感じた。

とは言え、
時計の伏線、シーツが白じゃない、的確なカメラ位置、噴き出された牛乳、野球拳、
地震の話し、コタツにみかん、時間軸の飛ばし、どれも良くて、
他の今泉作品を観たくなった。

何だかとても温かな空気に満ち溢れていた映画だった。


『ゴージャス・プリンセス!』 福島拓哉監督
処女で売れない女芸人が、喪失をきっかけに前向きになる話し。

誰が観ても分かりやすい、エンターテイメント作品。
3作品の中では1番好きだった。

前半、『ファック!』って言いながら街を歩く主人公のシーンが何だか斬新で惹き付けられ、
コンビの不仲で落ち込む主人公に共感し、
努力が実るラストに応援したくなり感動する。そいういうお話。

色々他の人の感想を読むと、
『芸人のネタがおもしろくない』とか、
『最初と最後でネタのおもしろさが変わってない』とかあったけど、
あんまり気にならなかった。
まぁネタがおもしろいに越したことはないけど、
要は主人公の顔つきが、観てる観客の感情が変わっていれば良いんじゃないかと思う。
実際その辺で僕は全然面白く観れた。

音楽がとても壮大。
描いているのは楽屋や自宅や近所の道や職場を行ったり来たりと、
狭い空間しかないけど、
音楽がハイウッド映画並みに、何万人もの心を動かした時に流れるような音楽で、
とても壮大だった。
音楽だけじゃなく、思い返せばマイクの撮り方も、スローモーションも、
ギターの演出だって壮大だ。
作品と音楽が合っていないという人もいるとは思うけど、音楽が壮大な分、
『あぁこれは誰の中にもある物語、誰もがヒーローになる瞬間を描いてるんだな』と思い、
そう思わせる為に音楽が壮大なんだなと妙に納得してしまった。

3作品の中で1番、濡れ場シーンでの主人公の感情が伝わって来た、
というのも良かった。
また3作品の中で登場人物が1番多くて、その分世界観が広くなって、
下手に主人公に言わせなくても主人公の置かれた状況が分かるので、
その分感情移入しやすかったなと思う。

1番好きだったシーンは、夜のベランダで主人公が初めてタバコを吸うシーン。
確か3カット目くらいでタバコの火が消えてて、
細かで良い演出だなと思った。


『ふかくこの性を愛すべし』 吉田光希監督
愛のないSEXをしてしまい落ちて行く女の話し。

『ヴァージン』自体が10代→20代→30代の順で描かれていく話しなので、
内容がどんどんヘビーになっていく。
なのでこれが3作品の中では1番ヘビー。
バッドエンドというのもあるけれど。

薬剤師の処女の女が、高校生に喪失させる。
『される』んじゃなくて『させる』。
全体的にすごく映画っぽい作品。
何をもって映画っぽいのかは置いといて、とにもかくにも男子高生3人組が格好良い。
特に前半、ビンを割るシーンが格好良い。
『青い春』もそうだけど、何で不良の高校生はあんなに画になるんだろうか。
空虚な風景の中に凶暴性を映しているからなのか。

この映画、主人公がほとんど喋らないので、
些細な仕草や表情で感情を読み取らなくてはいけない。
主演の女優さんがとても上手かった。
演技もそうだけど、動揺を音だけで表現していたり、
ゾクゾクする演出も際立っていた。

ただどうしても、男だからか、
まだ20代だからか分からないけど、感情移入しきれなかった。
これは単純に自分の経験不足だと思うので、
もっと年取ってから観ればすごく共感できる
フェリーニの『道』みたいな映画かもしれない。

観た人誰もが気になっているあのラストカット、
これがまず理解に苦しむ。
どん底まで落ちた女が、グラスを割って、
そのグラスの破片が皿に乗っていて、その横にコップに入った水。
単純に考えて飲んで自殺するんだろうなとは思うけど、
何で自殺するのか?この動機が理解できなくて。
そもそも、この女はベランダに出てビニール袋に包んでビンを割った。
そんな割り方をする女が、わざわざ自分の部屋で自殺をするとは思えず、
そもそも元薬剤師なので、グラスの破片を飲んで自殺するとも思えず、
だとしたら自殺ではないのかもしれない。
じゃあ自殺じゃなかったとして、あのラストカットの意味は何なのか?
分からない。分からないからこそ気になる。
そしてコップに入っていた水の量が、
曖昧な記憶を頼りにすると確か3分の1くらいしか入っていなかった気がして、
じゃあ飲んだ後なのか?何かの理由があってのあの量なのか?
考えれば考えるほど分からなくなる。
もう1回観たとしても多分、分からない。
女の人が髪をとく心理とか、会津八一とか、
もっと深くまで追及して理解していかないと分からない気がする。
とにかく、奥が深い深い映画だった。

中盤に2回ほど出て来る、主人公が職場から家に帰る夜道のシーン。
この1カットだけの画の中で、
左側にチノパン履いた男が立っているように見え、かなり不気味だった。
実際は男なんて立っていなくて、何かがそのように見えているだけなんだけど、
『ハッ!』としたので、狙って撮った構図なんだろう。
そこまで狙っている監督なのだから、
あのラストカットには想像し切れない
とんでもない仕掛けがあるんだろうと考えてしまう。

クライマックスが濡れ場ではない。枕のシーンだ。
あそこは多分悲しんでいる感情な気がする。
でも正直、喜怒哀楽どれなのかはっきり分からない。
もしかしたら全部の感情かもしれない。
あのシーンで、感情移入出来るか出来ないかがとても大事。
ただ、長くて、画に変化もなくて、
ホント5分くらいあったんじゃないかってくらい長くて、
ちょっと飽きてしまった感がある。
『空中庭園』の血の雨みたいな衝撃はなかった。

そして内田慈が出ている映画にはハズレがない。
あ、でも『恋の罪』はものすごーく苦手だったので、
内田慈にハズレがないのか。とんでもなく良い女優さんです。
SAIROの『closed room』に出演してもらった美輪さんが、
内田さんと共演してて、何だか嬉しかったなー。





さて3作品ともすごくおもしろかったわけだけど、
処女喪失を描くにあたり、
喪失する相手は主人公の敵対者になると思うんだけど、
あんまりそういう描き方をしている作品がないのが印象的だった。
以外とすんなり早く相手と打ち解けてしまう。
よって敵対者は処女の自分自身となってしまい、
作風は違えど自分と戦うという意味では共通している3作品だった。
ダルデンヌ兄弟の『ロゼッタ』とか、相手のこと無茶苦茶嫌ってるから、
嫌っているからこそあのラストが無茶苦茶良いというか、
そういう描き方の作品もあったら良かったなと思った。

女性監督だけ集めて、童貞喪失のオムニバスとかも面白そうだ。

いやでも1本くらい、女性監督が描いた処女喪失映画も観てみたかった。
きっと熟れたトマト壁に投げつけて、赤で汚れた手を舌でペロリとかするんだろうな。

まだまだ公開中で、とてもオススメの映画です。
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プロフィール

耳井啓明

Author:耳井啓明
(Hiroaki Mimii)
1984年鳥取県生まれ。
名古屋ビジュアルアーツにて
映画制作を学ぶ。
2004年東京に上京し
映画団体SAIROを結成。
映画・小説・写真と、
幅広く活動中。

詳しいプロフィール、
WORKSは、
下のカテゴリから。

SAIROのHPにて
月1作品配信中。

SAIRO公式HP
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