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2018-08

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アウトローなパイ、ムーンライズを撮りにテッドと

ドドドと映画を観たので感想とか書いてみよう。
いやでも、映画を作ってるんだから映画を観るのは当たり前で、
マラソンランナーが走って練習して鉄タブ食べるくらい当たり前で、大したことではない。
でも大したことを書きたいのがブログであって、
そう最近は1日に2本映画を観る、
それも映画館で観るという大したことをやっていて、
「どうだすごいだろう」という自慢も含めつつ、
でも思う、別に本当大したことではないのです。って。
普通、一般的、ベター。

人は眠らないと記憶が蓄積されず、
一夜漬けで勉強しても1回寝ないと記憶が出来ないらしいですね。
というわけなので、と無理矢理結びつけ、
映画の感想書かないと映画のこと理解出来ないんですね。
そんな性分か。勝負だ。


『アウトロー』

「流れ者が事件を解決して去って行く」という、
シンプル・イズ・ベストなお話し。

何だろう、
おもしろいのかおもしろくないのか良く分からなかった映画。

無差別殺人事件が起きて、犯人が逮捕されて、
流れ者のトム・クルーズがやって来て、
「無差別じゃない、誰かに仕組まれた罠なんだ、真犯人は別にいる」
って言って解決させる。
んだけども、そもそもトム・クルーズが事件を解決させることで
得られるメリットって何だろう?と思った。
多分お金だろうけどそういうシーンは多分なかった。
ので主人公の動機の部分が消化不良で、
ちょっと置いて行かれた雰囲気。

あとトム・クルーズと言えば、
今や役者で選んで映画館に行くという稀な、
僕にとってヒーローな俳優なわけで、
『コラテラル』がとても大好きで、
この映画を観てトム・クルーズの役作りに魅了されたわけで、
でも『アウトロー』には、あんまりそう思わせるシーンがなかったなぁ。

すごく地味な笑いが多かった印象。
嫌いじゃないけど地味すぎてどうも。
あとラブシーンやロマンスが珍しく描かれてないハリウッド映画で。
それと音楽、カーアクションのシーンに音楽一切なし、
エンジン音のみ、というのも印象的だった。
あとトム・クルーズはバスがとても大好きだ。

後半、ヒロインが敵対者に捕えられてトムが助けに行くんだけど、
どうにもこうにもハラハラドキドキしない。
絶対的にトム有利な状況だし、ヒロインがさほど危機に陥ってもいない、
そもそも敵対者の動機がいまいち理解できず、
なのでぼんやりと観てたらぼんやりと終わっっちゃった。

主人公が掴めない。これにつきる。
まぁ流れ者だから、掴めちゃダメな気もするんだけど。
結局原作読めってことですよね。


『ライフ・オブ・パイ』

「トラと一緒に227日間漂流した少年」のお話し

前半がとにかく長い。
全然旅立たない。
違う映画観てる気分。

前半に、トラがヤギを檻ごしに食べるシーンがあるんですね。
檻の隙間、とっても狭いんですね。
でもトラは、1秒もかからずヤギを中に引っ張り込むんですね。
「いやどう考えても隙間的に無理じゃないか?」という違和感が残って、
こういう些細な違和感がその後の展開も邪魔をしてきたのです。

体感40分後くらい経ってやっと旅立ちます。
海で漂流します。
思ってた映画がようやく始まります。
主人公の少年、割と何でも出来ちゃって、さほど困らないです。
海の上でイカダ作っちゃいます。
食料だってあります。
魚も簡単に捕まえます。
トラも調教します。
もはやですます口調です。
『キャスト・アウェイ』のトム・ハンクスって、
もっと過酷なサバイバルしてたと思うんだけど、
この少年のサバイバルはさほどサバイばってないのです。

映画の主人公には、
出来ない奴 → 出来る奴  または、
嫌な奴 → 良い奴      になる変化があって欲しい。

パイは出来る子だから、
別に可哀想でもなく、
「出来る奴だから心配いらないよね」と、感情移入がどうもしにくかった。

で色々あって(と言っても何にも起きなかった印象)
パイは助かる。

あら良かったねと思ってたらラストにまさかのどんでん返し!!
どうりで主人公はシャマランに似てると思ったよ。
このラストは、とても好き。フィクションの素晴らしさ。童話の世界。
作り物最高。これぞ映画的。『落下の王国』みたいな。


『ムーンライズ・キングダム』

「少年と少女が駆け落ちする」お話し。

観終わってこれほど記憶に残らない映画も滅多にないんだけど、
頑張って思い出してみる。

少年と少女が駆け落ちする。
でも島なので外へは行けず、島の隅っこ目指してく。
大人や他の子供が2人を探す。
島パニック、ビル・マーレイヒステリック。

何だろう、少年と少女が愛し合っている感がちっともなくて、
とても感情移入出来ない。
文通で愛を育んだという設定になっているけれど、
文面が味気なさ過ぎて、サバサバし過ぎてて
監督の「どうだおもしろいだろう」という笑顔が透けて見えて来て。。。

いくら愛し合っていても2人は敵対者同士であって欲しかった。
1回些細なケンカはするけど、あとはずーっと仲良しのままだから、
あんまり盛り上がらない。

で敵対者は大人や他の子供達になるんだけど、
映画が後半になるにつれ、減って行く敵対者。
普通逆じゃないのかな。敵対者は増えていったり、
敵対者がより強暴になった方が個人的には好きだ。

主人公の少年はメガネだ。
寝る時はもちろんメガネを外す。
俯瞰で撮っているせいもあるけど、完全におじさん顔だった。
それが嫌だった。

ウェス・アンダーソンは苦手な監督。
唯一好きなのは『イカとクジラ』
これものすごく好きな映画。
関わってるのは製作だけど。

で『ムーンライズ・キングダム』の共同脚本はロマン・コッポラ。
2001年の監督作『CQ』がとても好き。
コッポラファミリーの中で1番好き。
もっとたくさん監督やって欲しい。


『チチを撮りに』

「娘2人に、14年前に別れた夫に会いに行かせる母」のお話し。

娘2人にSONYの新品デジタルカメラを渡して、
「お父さんの顔撮って来て」と母親が頼むことでお話しは進んで行くけれど、
「何故デジカメで撮る必要があるんだろう?」と思った。
母親は娘たちが出発する時、携帯で2人のツーショットを撮る。
「じゃあお父さんの顔も、娘の持ってる携帯で撮ってくればいいじゃないか?」と思った。

途中「カメラ充電してない、使えない」ってシーンがチョロッとあるけれど、
後半ではカメラ使えてるし、
その辺の充電問題も、携帯カメラにしておけば全部解決出来るじゃん、
母親に画像送信も楽チンじゃん、
と思ったので、前半から映画の世界にすんなり入り込めず。
デジタルカメラの方が映画的だからと言われればそれまでだと思うけど。
でもタイトルになっているくらいだから、
「撮る」ことへの理解は、すんなりとしたい。

キャッチコピーは、
「感動の再会と思ったらそこは修羅場でした」

思う。修羅場ってあったかなぁ。
修羅場とは、『サイタマノラッパー2』の葬式シーンのことではないか。
部外者が突然現れてラップをするという、あれはすごく修羅場だ。yo-yo!

『チチを撮りに』も基本的には葬式シーンで、
でも娘2人は葬式だと思ってなかったので私服で行く。
場違い感が際立って良いと思う。
ならば、葬式に出席させてもらえなーい、家にも入れてもらえなーい、
せっかく電車で長旅してきたのに「帰れ!」と言われる、
妹は言う。「どうしようお姉ちゃん」 
姉は言う。「忍び込んででも撮ってやる」
という展開が好みだけど、
そういう展開ではなくてすんなり娘2人は受け入れられてしまう。

この映画の葛藤は「お父さんを受け入れられるか、笑顔でお見送りできるか」
に焦点が当てられているので、さほどコメディ要素もなくでもコメディタッチに進む。
だから何だか違和感消化不良。

何だろう、普通主人公が誰かに何か言われたら、
主人公のリアクション待たずして観客は主人公の感情を、
主人公より少し早く感じ取れるものだと思うんだけど、
ちょっと主人公のリアクションを待たないと分からない部分が多かった。
リアルタイムの主人公の感情が理解できないシーンが多かった。
だから後追いして観ている感じで、
「主人公と一緒に旅してる」って気持ちにさせてくれない。
キャラ設定が薄いのか役作りが甘いのか。
娘2人は性格は正反対だけど、靴下を手を使わずに脱ぐっていう共通のクセがある。
そういう些細な感情が伝わりやすいシーンがもう少しあれば
もっと入っていけたのかな、とも思う。
お母さんにも同じクセを持ってて欲しいけど。

全体的に娘2人の演技がシーンごとにバラバラで繋がってない印象もあって、
あと瞬きのタイミングが違う気がして、
あと全体的に「リハ通りに演じてます、段取り通りです」って感じで、
でも子役はすごい。全部良かった。
呼春の表情もとても良かったと思う。
口の表現とか、素晴らしいと思う。

遠くにいてなかなか会いに行けなかったお父さんに、
気軽に会いに行けるようになるっていうラストは、
とても良かったと思う。
ちょっと解釈違いそうだけど、でもそう思った。
「2回目の万引き」のくだりが分かり易ければもっと良かった。
1回目は観客が一発で想像出来て、
伏線になるからその後すぐ思い出せるような力強いエピソードではなかった。

映画終わって後ろの席の人たちが、
「マグロはいらない」って言ってたけど、
ラストであのマグロのインパクトがあるから口コミで広がるんでしょう、
と思ったりもしたので、あって良かったと思う。

隣の女性は泣きながら笑って映画を観ていて、
嫉妬するほど理想の観客で、
目頭押さえながら笑える映画ってとてもとても理想的。

弁当がご飯、なのに川へはパン のくだり、
急いでいるのに洗顔 のくだり、
何度も寿司を囲んでケンカしているはずなのに新鮮に映るケンカ、
果物をコインロッカーへ のくだり、
駅から家まで子供1人で行かせてしまう距離感の不思議、
千葉、もしくは埼玉から歌舞伎町に通うのは大変だな、
鍵を開けっぱなしで出て行ってしまうクジ売り場、
忘れた呼春の鞄をみんなで取りに行く段取り、
など気になるくだり、演出はたくさんあったけど、
どうしても気になったのがリップのズレ。

個人的に海外でこの映画が評価されたのは、
世界共通で通じる家族愛もあるとは思うけど、
字幕だからリップが関係ないのと、
俯瞰で撮られた笑える濡れ場シーンだと思う。
あと骨とマグロ。
特に骨って、
死んだ人を具現化できるからとても良い。

母親が子供たちと鬼ごっこして、
1回お父さんを振り返る演出はとても良かった。
「123456789101112131415」
もとても良かった。


『テッド』

「クマのぬいぐるみが喋って動く」お話し

びっくりするぐらいお約束通りの展開だった。
クマが人間だったら、絶対にダメ。
でも逆に、オーソドックスって感動できるよね、と思った。

何で日本で大ヒットしてるのかな。
かわいいからかな。

個人的には、
テッドがとても良い奴だったので、
最初はもっと悪でも良かった気がするけど、
やりすぎたらヒットしてないのかな。



と、
長々偉そうにネタばれ全開で4本好き勝手書きましたけども、
自分の映画にフィードバック出来なければ書いた意味もないも同然で、
あと気になった部分と言うのは自分の映画で蔑ろにされていた部分でもあるので、
本音の容赦ない意見感想に耐えうる忍耐とメンタルはか弱いけれど、
自分がおもしろいと思える、
観客がおもしろいと思える映画を撮るしかないです。

大したことではないです。
当たり前に作らなきゃあダメだ!!
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上映終わってあの娘に逢って

IMG_3138.jpg


映文連アワード2012の上映にお越し下さった皆様、
本当にありがとうございました。

11月には都内で4回ほど、『ぼくだけの宿題』の上映がありました。
大変感謝しかありません。
こんな時期に夏の話題で申し訳ないですが、夏の映画なので、
これから夏に向けて、どんどん上映の機会が増えていけばいいなと思っています。
その為に頑張っていきます。

色んな人に映画を観て頂いて、
一通り感想が出揃ったことで、
当然のことながら、思うことがあるわけです。
良いとこも悪いとこも含めて。

ただそれをツラツラ書けるほど律儀でもないですし、
冗談好きなのに冗談言っても誰も信じてくれないという切ない人生ですから、
ただ何となく要所要所に含みを持たせて、
ツイッターだってあるしフェイスブックもあるし、
それらを結びつけて汲み取って頂けたら幸いです。





さて、
更新回数よりも中身を充実させたいこの頃、
映画の話しをします。


色んな人に、
『耳井さんは嫌いだと思うよ』と言われ続けていて、
女子大生が監督したのにも関わらず劇場は日々満席の毎日で、
ツイッターでこの映画の話題ばかりが溢れて来た時には
いっそのことフォロー外そうかと思ったけれど、
その前にこんな話題作観なきゃいけないだろうということで、
上映終了を惜しむ声から生まれたアンコール上映というものに雨降る中駆け込んで、
『あの娘が海辺で踊ってる』 という映画を観てきた in 初のポレポレ。


とてもとても面白かった。
「中毒とはこのことか」と、珍しくハマってしまった映画だった。


いくら連日満席とは言え、
観てない人がほとんどだと思うから、
頑張ってストーリーを一息で言ってみよう。

○「田舎に住む仲良し女子高生2人が離れ離れになる話し」
これは全然弱い。だから何だって話しですね。


○「田舎に住むAKB48になりたい女の子とその友人が、
       それぞれ別々の方向へ旅立っていく話し」

これは長いですね。2行になっちゃったし。


○「AKB48と日本舞踊が三味線と出会い翻弄される話し」
何だか全然良く分からない。でも間違ってはないと思う。


○「田舎なんて大嫌いと言う主人公が、友情と夢の間で揺れる話し」
近づいてきた気はするけど、何か普通ですね。


とまぁ、
とても一言で言い表せれるような映画ではないです。
開き直って言い訳です。
まぁ上の4つをなんとなく混ぜた感じの映画です。
もはやアバウトです。

あんまりストーリーで観たいと思う映画じゃなく、
観た人の熱量に圧倒されて観に行く、
そんな口コミで話題になったんでしょうか。

と書いた矢先、
ちょっと予告編を改めて観てみた。
鳥肌立った。
はい、予告観れば大体のストーリーが分かるようになってましたので、
それ観て何とか掴んで下さい。

で、予告観てみてお分かりの通り、
「なに喋ってるか聞き取れない」「演技下手っぴ」「全体的に雑」「音楽が素敵」
という感想が出てくるかと思うけど、
本当に技術的には最低で、
これだけではとても観たくはならなかったことでしょう。

でも不思議と、
なに喋ってるか聞き取れないことが逆にリアルであったり、
そのおかげでたまに聞き取れたセリフにビビッと心掴まれるし、
全体的に雑な作りのおかげでビシッと素晴らしい映像が不意に現れてビックリしたりする。

アイドルを目指す主人公の舞子が、すっごく嫌な奴なんです。
言動が素直過ぎるというか、子供というか、取り繕う感なんてゼロ、
例えずにまんま書きますと、

「あのさぁ、会いたい会いたいってヤリたいヤリたいってことだから」

って普通に言う。
観てて気持ちいいくらいに言い放ってくれる。
ゆえに孤独。
こんな田舎から出て行きたいと強く願っている。
唯一の親友は菅原だけ。。。

この強烈な主人公に共感出来るか出来ないかが、
この映画の好き嫌いを分けるのかなと思ったり。
この映画が嫌いな人の理由もものすごく分かるんだけど、
割と前半で舞子の孤独を丁寧に描いていたから、
僕はすんなりと入っていけたし、一緒に悩んだり応援できたりした。

好きだなと思えるセリフがたくさんあった。
全編通してずっと音楽が鳴っていたし、間延びだと感じるとこもなかった。
本当に心から満足できる映画だった。
「この映画を批判する人に何言われても別に言い返すことはありませんし」
というニュアンスで。


上映後には映画の登場人物がステージ上に上がり、
舞台を繰り広げるんです。
後日談的な物語を。歌とダンスをプラスして。

これがまた良くて、
何度も「すごいなぁ」と呟いてた気がする。
映画の世界が目の前に広がることほど素敵なことはありません。
だから舞台挨拶とか昔から割と好きだったです。


これら映画と舞台を総合して、
何だろう、
「デビューアルバムで傑作を作ってすぐに解散してしまったバンド」
みたいな映画だった。
賞味期限は短いけど消費期限は無限みたいな。
17歳の全部が詰め込まれた映画だった。
ジョナサンはおしゃれスポットだった。

最初は全然期待していなかったけど、
全部が想像の斜め上を行っていた映画だったので、
驚き多数感激多数、
やっぱりそういう映画が良いですね。

観るタイミングが良かったのもあって、
バシッとハマっちゃったんです。

とまぁ、
いくら書いたって、
これは観ないとおもしろさは伝わんないですね。
開き直って2度目の言い訳です。


恐るべし女子大生監督。
「自分は何の為に映画撮っているのか」を、
改めて考えさせられるきっかけをくれました。

情熱とかパワーとかも大事だけれど、
それ以外の何かが必要なんだと思う。

次撮る映画の仮想敵はこの映画にしようと思います。

そうそう、
早々、もう1回観たいな。

にしても日本舞踊を踊るのが菅原で、
アイドルになりたい主人公の名前が舞子だもん、
そんでもって海辺で踊るの菅原だもん、
そんないじわるなとこも良かった。

苦手な映画

ryuzan05.jpg



今1番の話題作で問題作、
『先生を流産させる会』 を観た in 渋谷。

はい、いつも通りネタばれ全開で書きますので、
観てない方は読まないで下さい。
あくまで自分を追い込むためだけに書いているのであって。。。






タイトルだけで内容は完全に分かるけど、
先生を流産させる女子中学生の話しです。
実話を元にしている映画です。

元々、予告編を観て音楽のカッコ良さに惹かれ観ようと思った作品だけに、
断然、音楽が良かった。
でもしかし、映画はとても苦手な映画だった。

思えばここまで苦手な作品もあまりなく、
ちょっと何が何故苦手だったのか考えてみようと思う。


○タイトルインまで
大体好きな映画か苦手な映画かは、タイトルインまで、
または開始15分くらいで分かるもんだ。
『ロゼッタ』の場合は、ラストシーンまであまり好きではなかったけど、
ラストで好きになった、そんな例外的な映画もあるけど、
大体開始15分って、とても大事だと思う。
要はツカミですね。

で『先生を流産させる会』の場合は、
弱ったウサギを滑り台の上から投げ落とすってシーンになるわけだけど、
書いててもその残酷性や凶暴性はすごく表れてて、
掴みとしては最高だ。

でも、この映画は曖昧な撮り方をしていた。
ウサギに入り投げ落とすまでを1カットで描いていた。
これは監督が言ったんでしょう、「ここは1カットで行こう」と。
それはそれで良いと思うけど、
1カットで撮ったせいで、ウサギを掴むアップを削ったせいで、
正直何を滑り台の上から落としたのか曖昧になった。
何となくウサギだろうと想像はつくけど、
落ちる音がとてもウサギの音には聞こえなくて、骨?かと思った。
1カットで描くなら、例えばもっと掴みにくそうな演技をしたり、
落ちた瞬間ウサギの鳴き声でも入れてくれれば、
観客全員理解出来るのに。
曖昧なオープニングを曖昧なまま理解したまま、
タイトルインにいく。


○移動車の雑さ
移動撮影をたくさん使っているけど、
全てがガタガタと雑でNGレベル、とても見苦しかった。
テーマ的に見苦しい映画だからこそ、あえて見苦しく撮ったのかもしれない。
ならば、手持ちで撮れば良いのにと思ってしまった。
あと、あの移動撮影でOKを出してしまう環境、
「時間や機材が足りない」状況だったのかもしれない。


○役者の描き方
主演の女子中学生。
口数少なく影があり、映画では悪役だけれど、
目だけを観ればすごく優しい子だと分かる。
目の演技が全く出来ていないので、ただト書きにある行動をして、
脚本にある過激なセリフを喋っているだけで、演技を強要されている感じ。
目だけは、役に合わず素のままで、ちゃんと素直にリアクションしてた。

ターゲットとなる先生。
シーンごとに感情がバラバラで、理解できなかった。
セリフのボリュームの大小が多い。
同僚とのやり取り、生徒とのやり取り全て、全く先生に見えなかった。
とにかく、力み過ぎていた印象。
理科の授業のシーンでは、
黒板に書いてある文字がとても先生が書いたものとは思えず、
また保護者との電話シーンでは、動き全てが不自然で、
先生ぽくなさに拍車をかける。

「先生を流産させる会」のメンバー。
キャラ設定が全くされていないので、深みが全くなく、ただそこにいるだけ。
いてもいなくても、主人公や先生にとってはどうでも良い空気以下の存在。
あとやっぱり、目が優しい。
とても良い子達なのに、無理に演じさせられているという印象しか受けなかった。
ホント、セリフ以外の演技をしていなかった。

立ち位置が不自然。
監督の言う通りの立ち位置に立ち、セリフを言っている印象がすごくあり、
違和感しかしなかった。
途中モンスターペアレンツの母親が学校へ押しかけて来るシーン。
先生は、「廊下で話しましょう」と言う。
母親の怒りはMAXである。
なのに、先生の言葉に従い、ちゃんと廊下に行く。
おかしいと思う。普通、こんなに怒っている人が廊下になんて行かないよ。
また途中、生徒がイスのネジを緩め、
イスに座った先生を転ばせるシーン。
普通に考えて先生は何が起こったか理解できなくなると思う。
でも先生は、転んで真っ先にネジを掴み生徒の仕業と断定する。
おかしいと思う。
あの状況で、細工されたネジ→生徒の仕業→怒りへと、
そんな早い思考の回転が出来るものなのか?
ホント全てにおいて、「段取り通りです」という感じ。

言って見れば、学芸会の演劇のよう。
誰1人、自由に演じれていなかった印象。
役になりきれていなかった印象。
現場で、役者は何も言わなかったのか?
行ったけど監督に却下されたのか?
多分何も言わなかったんだろう。
そんなことばかり考えてしまった。
よって、誰にも感情移入が出来なかった。


○演出の不思議
理科の授業シーン。
黒板には疑問文。それぞれの机に実験器具が置かれてはいるが、何もしていない生徒。
先生も、前をただ見ているだけ。
このシーンは何のシーンだろう。
理科の授業のシーンだ。
なのに、だれも授業をしていない。ただ、そこにいるだけ。
誰1人、演技をしていなかった。監督の演出がなかったのか?
オンリーを録っている現場を映しているような、そんな雰囲気。
ここは脚本的には、「薬品を盗む」シーン。
監督的にはそこだけちゃんと描ければOKなのかもしれない。
でも、「理科の授業中に薬品を盗む」という演出をすれば、
もっとハラハラドキドキの展開に出来たのに。。と思う。

終盤、「絶対にそこは真っ先に救急車を呼ぶべきっ!」と思う、修羅場のシーンがある。
でも誰も呼ばない。先生は、何もしない。
「呼べば後々の展開で支障をきたすから」という、脚本家目線での考えは分かるのだけれど、
人工呼吸して完全復活という展開は、もはやコメディだった。


○主人公は誰なのか
「流産される会」のリーダー、先生、
どちらも人物描写が浅いので、感情移入し切れない。
リーダーの家庭環境の説明はないので謎の少女のまま、
先生も先生で、子供に対する愛情も、結婚生活も描かれないので、
人物を追って観る映画ではなくて、展開を見せられただけの映画だった気がする。
先生がさ、赤ちゃんの名前を付けてて、名前で呼んだりしてれば、
たったそれだけあれば十分感情移入は出来たのに。。と思う。


○効果音が誇張しすぎ
ウサギの落下音もそう、ビンタの音はキックの音、
全ての効果音が嘘っぽく、誇張され過ぎてて、辛かった。



そういえば、この映画に似た映画を観たことがあった。
『わたしの赤ちゃん』という、映画美学校の作品。
そして「先生を流産させる会」の監督も、美学校出身。
何か色んな謎が解けた気がした。
とてもとても、美学校っぽい作品だったから。
この作品のスタッフも美学校の人じゃないだろうか。
「力み過ぎる演技・効果音の誇張・シーンのブツ切り感、監督の意図に反し笑われてしまう」、
これらがまさに美学校っぽさの気がする。
そしてこれらの映画が、個人的にとても苦手だと分かった。

誰もが興味を惹かれてしまうタイトルも、題材も良いだけに、
もう1度、別の誰かが撮って欲しい作品。
別の役者で120分くらいで。

とはいえ、この映画は連日満席で大ヒットしているので、大成功の映画。
だからホントに、勿体ないなぁと思ってしまう。

そして、この映画を褒めている人もいるという事実。
色々なレビューを観て、
こんなにも自分と開きがある映画も珍しいなと思った。

全く関係ないけど、
カンヌ獲ったしハネケ監督作品も観とかなきゃと思い、
この日の午前中『ファニー・ゲーム』を観た。
監督と観客が殴り合うような映画で、後味悪過ぎる作品。
『先生を流産させる会』との2本立ては、
映画に何を求めてるんだと思うほどの攻めの姿勢。
ただ『先生を流産させる会』は別の意味で後味悪く、
受ける印象は全く違ったのでした。

『ヴァージン』観てきた

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『ヴァージン』を観てきたin新宿。

絶賛公開中なので、
本来ネタばれを避けつつオブラートに包んで面白さを伝える書き方を
しなければならないと思うけど、
そんな律儀な謙虚さを持ち合わせていたらそもそも書くかどうかも微妙なのであって、
2、3秒迷った挙句ネタばれ全開で書いてしまおうという結果に陥り、
というわけで見たくない人は見ないで下さい。
書くのはだって、自分の為だもの。でも映画は観て下さい。

『ヴァージン』
女性(10代・20代・30代)の処女喪失を3作品で描くオムニバス作品。

予告編は コチラ 。




『くちばっか』 今泉力哉監督
高校生の男女が、処女を、童貞を、女の子のお姉ちゃんの部屋で、
しかも男の子が昔好きで告白もした、そんなお姉ちゃんの部屋で喪失する話し。

今や若手で1番注目されている今泉監督。
嫉妬心があるので今まで観たことはなかったので、今回が初の今泉映画。

基本的に長回しで、温かくじっくりと描いている作品。
時折笑いも挟みつつ、尚且つ初体験の緊張感、噛み合わなさをこれでもかと見せつけられ、
ひゃー、面白かった。特に男の子が抜群に良くて。

でも気になってしまったのが、
クライマックスの濡れ場シーンで、何かが何かとぶつかる音が頻繁に聞こえてきて、
思いっきり現実に戻されてしまったこと。
後付けの音だとしたら付けた意図が良く分からないので、
多分現場音だと思うけど、何だか違和感。。
ベッドの軋む音とかならリアリティがあって良いんだけど、
ぶつかるような音なので、気になって仕方なかった。
また役者の動きと音が合っていないので、
物語よりも、音の鳴る間隔が気になって仕方なかった。

それと、女の子のお姉ちゃんで、男の子が昔告白してふられたお姉ちゃんが出て来る。
名のある人をキャスティングしているので、それ相当の役回りを演じるべきだと思うけど、
どうも中途半端に感じた。

女の子にとってお姉ちゃんは、好きな男の子が『まだ恋心を抱いているのではないか?』
と不安で、
だからあえてお姉ちゃんの部屋に男の子を呼ぶ。
言ってみれば女の子の敵である。なのにこの2人、全くぶつからない。
もしお姉ちゃんを登場させるのであれば、
濡れ場シーンに割って入って登場させるくらいのインパクトが欲しかったなぁと。
ラスト間際、お姉ちゃんにばったり会ってしまう2人のシーンがあるにはあるけど、
ぶつからず、気まずさで押し通す。
個人的にはもっと出すべき人物、
小さく出すのなら最初から出さないで良かった人物だと感じた。

とは言え、
時計の伏線、シーツが白じゃない、的確なカメラ位置、噴き出された牛乳、野球拳、
地震の話し、コタツにみかん、時間軸の飛ばし、どれも良くて、
他の今泉作品を観たくなった。

何だかとても温かな空気に満ち溢れていた映画だった。


『ゴージャス・プリンセス!』 福島拓哉監督
処女で売れない女芸人が、喪失をきっかけに前向きになる話し。

誰が観ても分かりやすい、エンターテイメント作品。
3作品の中では1番好きだった。

前半、『ファック!』って言いながら街を歩く主人公のシーンが何だか斬新で惹き付けられ、
コンビの不仲で落ち込む主人公に共感し、
努力が実るラストに応援したくなり感動する。そいういうお話。

色々他の人の感想を読むと、
『芸人のネタがおもしろくない』とか、
『最初と最後でネタのおもしろさが変わってない』とかあったけど、
あんまり気にならなかった。
まぁネタがおもしろいに越したことはないけど、
要は主人公の顔つきが、観てる観客の感情が変わっていれば良いんじゃないかと思う。
実際その辺で僕は全然面白く観れた。

音楽がとても壮大。
描いているのは楽屋や自宅や近所の道や職場を行ったり来たりと、
狭い空間しかないけど、
音楽がハイウッド映画並みに、何万人もの心を動かした時に流れるような音楽で、
とても壮大だった。
音楽だけじゃなく、思い返せばマイクの撮り方も、スローモーションも、
ギターの演出だって壮大だ。
作品と音楽が合っていないという人もいるとは思うけど、音楽が壮大な分、
『あぁこれは誰の中にもある物語、誰もがヒーローになる瞬間を描いてるんだな』と思い、
そう思わせる為に音楽が壮大なんだなと妙に納得してしまった。

3作品の中で1番、濡れ場シーンでの主人公の感情が伝わって来た、
というのも良かった。
また3作品の中で登場人物が1番多くて、その分世界観が広くなって、
下手に主人公に言わせなくても主人公の置かれた状況が分かるので、
その分感情移入しやすかったなと思う。

1番好きだったシーンは、夜のベランダで主人公が初めてタバコを吸うシーン。
確か3カット目くらいでタバコの火が消えてて、
細かで良い演出だなと思った。


『ふかくこの性を愛すべし』 吉田光希監督
愛のないSEXをしてしまい落ちて行く女の話し。

『ヴァージン』自体が10代→20代→30代の順で描かれていく話しなので、
内容がどんどんヘビーになっていく。
なのでこれが3作品の中では1番ヘビー。
バッドエンドというのもあるけれど。

薬剤師の処女の女が、高校生に喪失させる。
『される』んじゃなくて『させる』。
全体的にすごく映画っぽい作品。
何をもって映画っぽいのかは置いといて、とにもかくにも男子高生3人組が格好良い。
特に前半、ビンを割るシーンが格好良い。
『青い春』もそうだけど、何で不良の高校生はあんなに画になるんだろうか。
空虚な風景の中に凶暴性を映しているからなのか。

この映画、主人公がほとんど喋らないので、
些細な仕草や表情で感情を読み取らなくてはいけない。
主演の女優さんがとても上手かった。
演技もそうだけど、動揺を音だけで表現していたり、
ゾクゾクする演出も際立っていた。

ただどうしても、男だからか、
まだ20代だからか分からないけど、感情移入しきれなかった。
これは単純に自分の経験不足だと思うので、
もっと年取ってから観ればすごく共感できる
フェリーニの『道』みたいな映画かもしれない。

観た人誰もが気になっているあのラストカット、
これがまず理解に苦しむ。
どん底まで落ちた女が、グラスを割って、
そのグラスの破片が皿に乗っていて、その横にコップに入った水。
単純に考えて飲んで自殺するんだろうなとは思うけど、
何で自殺するのか?この動機が理解できなくて。
そもそも、この女はベランダに出てビニール袋に包んでビンを割った。
そんな割り方をする女が、わざわざ自分の部屋で自殺をするとは思えず、
そもそも元薬剤師なので、グラスの破片を飲んで自殺するとも思えず、
だとしたら自殺ではないのかもしれない。
じゃあ自殺じゃなかったとして、あのラストカットの意味は何なのか?
分からない。分からないからこそ気になる。
そしてコップに入っていた水の量が、
曖昧な記憶を頼りにすると確か3分の1くらいしか入っていなかった気がして、
じゃあ飲んだ後なのか?何かの理由があってのあの量なのか?
考えれば考えるほど分からなくなる。
もう1回観たとしても多分、分からない。
女の人が髪をとく心理とか、会津八一とか、
もっと深くまで追及して理解していかないと分からない気がする。
とにかく、奥が深い深い映画だった。

中盤に2回ほど出て来る、主人公が職場から家に帰る夜道のシーン。
この1カットだけの画の中で、
左側にチノパン履いた男が立っているように見え、かなり不気味だった。
実際は男なんて立っていなくて、何かがそのように見えているだけなんだけど、
『ハッ!』としたので、狙って撮った構図なんだろう。
そこまで狙っている監督なのだから、
あのラストカットには想像し切れない
とんでもない仕掛けがあるんだろうと考えてしまう。

クライマックスが濡れ場ではない。枕のシーンだ。
あそこは多分悲しんでいる感情な気がする。
でも正直、喜怒哀楽どれなのかはっきり分からない。
もしかしたら全部の感情かもしれない。
あのシーンで、感情移入出来るか出来ないかがとても大事。
ただ、長くて、画に変化もなくて、
ホント5分くらいあったんじゃないかってくらい長くて、
ちょっと飽きてしまった感がある。
『空中庭園』の血の雨みたいな衝撃はなかった。

そして内田慈が出ている映画にはハズレがない。
あ、でも『恋の罪』はものすごーく苦手だったので、
内田慈にハズレがないのか。とんでもなく良い女優さんです。
SAIROの『closed room』に出演してもらった美輪さんが、
内田さんと共演してて、何だか嬉しかったなー。





さて3作品ともすごくおもしろかったわけだけど、
処女喪失を描くにあたり、
喪失する相手は主人公の敵対者になると思うんだけど、
あんまりそういう描き方をしている作品がないのが印象的だった。
以外とすんなり早く相手と打ち解けてしまう。
よって敵対者は処女の自分自身となってしまい、
作風は違えど自分と戦うという意味では共通している3作品だった。
ダルデンヌ兄弟の『ロゼッタ』とか、相手のこと無茶苦茶嫌ってるから、
嫌っているからこそあのラストが無茶苦茶良いというか、
そういう描き方の作品もあったら良かったなと思った。

女性監督だけ集めて、童貞喪失のオムニバスとかも面白そうだ。

いやでも1本くらい、女性監督が描いた処女喪失映画も観てみたかった。
きっと熟れたトマト壁に投げつけて、赤で汚れた手を舌でペロリとかするんだろうな。

まだまだ公開中で、とてもオススメの映画です。

映画太郎に行ってきた

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何だかんだで刺激をもらえる 映画太郎 の上映、最終日に行って来たin新宿テアトル。
誰の為でもなくて、ちょっと自分の為に感想でもつらつら書いてみようと思う。


『制服哲学』 勝又悠監督

予告編は コチラ 。

3月31日、女子高生が制服を脱ぐまでの話し。

タイトルもあらすじもおもしろそう。
とにかく、これでもかと脚・脚・脚押しの映像で、JK好きは満足できる動画だと思う。
予告編にもある水たまりカットが1番良かった。

主演の清瀬やえこさんは、SAIROの『familiar eyes』で監禁されたり、
小屋から逃げ出して河原を逃げ回ったりしてたけど、今回は孤独な女子高生役で、
声も良いけど、黙ってても画になる女優。
その表情に、何を仕出かすか分からない危うさがあったり、微妙にエロかったり、
今回の役にピッタリ合ってる。

物語は淡々とただ歩いたり、屋上で寝転んでみたり、
町をブラブラしてみたりを脚が主人公ですと言わんばかりに描いていき、
ラスト海の前で制服脱いで終わり。

正直さっぱり分からなかった。
この女子高生がそもそもどれだけ制服に愛着があるのか分かれば、
まだ感情移入できたかもしれないけど、基本的に脚とスカートしか映っていないので、
襟や袖ボタンやソックタッチとか、そういう他の制服パーツも観たかったなー、と。
前半、取れかけたローファーの底をボンドでくっつけるシーンがあるにはあるけど、
それならば、徐々に制服が壊れていって自然と体から脱皮していくような、
時間の流れには逆らえないでも逆らいたい女の子の話しになればおもしろいのに、と思ったり。
タイトルは『ノット・ダッピ』でどうだろう?
多分ダメだろう。

勝又監督作品は初めて観たのだけれど、
何となく岩井俊二っぽいというか、女性っぽい映像を撮る人だと思ってた。
でもこれはものすごく男目線な作品で驚いた。
途中この女子高生は、ゲームセンターやバッティングセンターなど、
男が行きそうなとこに行くのだけれど、
多分女性監督が撮れば、熟れたトマトを壁に投げつけて、
トマトで汚れた手をぺロリと舐めたりするんだろうなと勝手に思う。
自分と戦って血を流す映画みたいになるんだと思う。
だから女の子の方が早く大人になるんです的な。

ラスト、制服を脱ぐ前に、
女子高生はiPhoneに何か宣言のような、決意のような言葉を吹き込む。動画で。
そこがすごく『私、脚本を読んでいます』的な喋り方だったのも、少し残念。
ああいうシーンは、頭で言うことを考えながら喋らないといけないシーンだと思う。
たどたどしくあってほしかった。

ただこれは、永遠に制服が似合ってしまいそうな清瀬さんだからこそ出来た役なので、
JK好きも清瀬やえこ好きも満足できる作品だったと思う。

そして女性の意見をものすごく聞きたい作品だった。
卒業式も終わった休みの日に、わざわざ家から制服着て出掛けてしまうような主人公だ、
夜中に車盗んで海にまで行っちゃうような主人公だ、
女性の方が共感出来るはず。




『ゆく人、くる人』 天野千尋監督

予告編は コチラ 。

死んでしまった20代の男女が、三途の川を渡る前日に集まって騒ぐ話し。

あらすじすごくおもしろそう。

何も知らされぬまま、公民館的な場所に集められた若者たち。
係員に『あなた達は死にましたので、明日川を渡るまでここで待機して下さい』と言われる。
戸惑う若者。逃げ出す者。死んだと信じない。
『あなたは最後の1日、どう過ごしますか?』という、『逝く人』のお話し。

とても雰囲気ある作品でおもしろかった。
SAIROの岩佐くんが出演しているのだけれど、
ちょっとどころか1番おいしい役だったので、
『嫌われてないよ、愛されてるよ監督に!』と思ったり。

ジブの上下移動を多用した映像は、
死んでる魂が漂っているみたいで良かった。
全編、浮遊感の手持ちでもアリだと思った。

録音がとても印象的だった。
基本的にワイヤレスの音のみで、しっかりとセリフが聞こえ、唾を飲み込む音まで聞こえる。
逆に言えばものすごく違和感のある録音なんだけど、
舞台は死後の世界だからそりゃそうだ、環境音なんて聞こえるはずがない。
車も人混みも、もしかしたら風だってないかもしれない。
あるのは死人だけだからっ!
そんな録音が、作品の雰囲気を、不気味さをより出してた。

群集劇なので、様々な人が様々なドラマを公民館みたいなところで繰り広げる。
(映画『カラフル』の前半で描かれていたような感じ)
でも何故か、観たいところは観せてくれない。
は・が・ゆ・い 構成。

(後に結婚するけど)別れ話しでケンカしているカップル。
偶然同級生の男に出会った女。
仕事を続けるサラリーマン。
これら4人は、物語の中で180度考え方が変わる。
でも、変わる瞬間を一切見せず、シーンが変わったら突然コロッと心変わりしている。
そのせいか、これだけ登場人物がいるのに、誰1人として感情移入が出来ないのが残念。
脚本段階で助監督やキャストの誰かが『ここ、何でこの人、心変わりしたんですか?』
『そこはちゃんと描いて深くしましょうよ!』と言うはずだから、
きっと多分意図的に心変わりを描いていないと思う。
もしくは編集段階で切ってしまったか。
そうすることによって、観客に何が伝わるのかは、分からなかった。
『死んでいるから、余計なことは考えず、急に心変わるんです』と言われたら、
妙に納得してしまうかもしれないけれど。。
死んでから心変わりするのは、人間っぽさが出て良いと思うんだけどな。

そんな中、唯一心変わりが描かれていたのが、
『係員になりたい』と係員に願い出るヤンキー女。
ラストにもこの女性は立派に係員となって出てくるので、
とても重要な役だろうと思うけど、
『そもそもスタッフとは何ぞや?』なので、こちらも良く分からず仕舞い。
若者たちをまとめるスタッフは3人いて、みんな死んでいるようだ。
だから多分、途中出てくる警備員も死んでるはず。
作品に出てくる全員死んでいるはず。
警備員は逃げ出した男を捕まえようと、応援を呼ぶ為に笛を吹いていたので、
作品には出てこないけど、この世界にはまだ誰かがたくさんいるんだと思う。
『じゃあ、三途の川を渡らず、スタッフや警備員となった時のメリットって何?』と思ったり。
そもそも警備員を登場させなくても、
あの役は係員役の誰かで補える役まわりだったように思う。
ただ逃げた男を捕まえるってだけだから。

この作品には約20人ほどの人物が出てくるのだけれど、みんな割りと良い人ばかり。
すんなりと『死』を受け入れるし、すんなりと仲良くなるし、
なんと最終的には赤の他人の結婚式を開き、祝い、歌い、踊る。
ホントに、1人も悪い人が出てこない。
死んでもなお我侭に、傲慢に、死んでいるのだからこそ
形振り構わず欲に走ったりする人ばかりだったら、
『死んでもやっぱり人間ってこうだよね』と、物悲しく納得できて、
より考えさせる映画になったんだろうと思う。
死んでもなお死ぬとか、そんな人がいても良かった。
あと、物語が落ちていかない。
『死んでるんだから元々落ちてるだよ』と言われればそれまでだけど、
唯一逃げ出したとび職の男だけが落ちてた。
この男みたいな葛藤を、あと数人観たかった。
サラリーマンとか、すごく色々描けそうだったんだけど。

さてSAIROの岩佐くんが、
手帳に何かを書き込んでいる単体のカットがあった。(ウエストショットくらいかな?)
後で聞いたところ、『日記を書いていた…』らしい。
セリフはなく単体のカットのみで、それを観客に伝える演技は難しい。
そもそも、いつの日の日記をあんな昼間に書くのかも怪しい。
だってあなた、死んでるし。
かと言って、日記のアップを入れたとしても伏線でも何でもないし、
岩佐という役柄に深みを与えると言っても微妙だし、
だとしたらあのカットは単に人物紹介だったのではないか、と思う。
でも人物紹介なら日記のアップはあっても良いと思う。
あった方がより紹介出来ると思う。
じゃあ何故入れなかったのか?
すごく綺麗な映像だったけど、情報が届かなくて残念だった。
『死んでる人のすることは摩訶不思議!!』と言われれば、
それはそれで納得してしまいそうだけど。。

そう考えると、死んでるけど生きてるみたいな人を表現する演技って難しい。
撮影前に『シックス・センス』を観たりするんだろうか?

そんなたくさんの役者陣の中で、三つ編みの女性と、
ケンカの仲裁に入ったメガネの男性が、特に良かった。

題材が魅力的な分、もったいないなぁと感じた映画だった。
ラストの別日の階段に出てくる登場人物含め。




と、
あれやこれや好き勝手書いたけど、
実際4時間くらいかかって書いたけど、
こうやって書くことで自分もすごく勉強になっているなぁと思う。
もっと色々観て色々好き勝手書いてみよう。



さて映画太郎はまだまだ続くようで、
今度は夏、六本木で開催。

『呼ばれたいな』と、常々思っている。
『呼ばれなくても行くんだろうな』とも思っている。

いや、でもやっぱり前者が強い。

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プロフィール

耳井啓明

Author:耳井啓明
(Hiroaki Mimii)
1984年鳥取県生まれ。
名古屋ビジュアルアーツにて
映画制作を学ぶ。
2004年東京に上京し
映画団体SAIROを結成。
映画・小説・写真と、
幅広く活動中。

詳しいプロフィール、
WORKSは、
下のカテゴリから。

SAIROのHPにて
月1作品配信中。

SAIRO公式HP
http://sairo.jp/

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